パリ五区の警察署長が紹介してくれた店
「おかげで、パリで居合2段に合格することができました(笑)。そんなとき道場で祝賀パーティの料理を任せると言われて、引き受けたんです」そのパーティでひとりの人物に出会う。これが清水のチャンスだった。
「名刺を渡されて、明日訪ねて来いと言われましてね。どうもポリスらしいとはわかったのですが、行ってみたらその人はパリ五区の警察署の署長さんだった。管内のレストランを紹介してやると言われて、ついて行った先がトゥール・ダルジャン!」武道が取り持つ縁だった。父が持たせた真剣が役に立ったのである。以来、移民局での労働ビザの受給手続きに同行してくれたりアパートを借りる際の身元保証人になってくれたり、署長は陰に日向に清水のパリ滞在を助けてくれる存在となった。
トゥール・ダルジャンで1年間、死にもの狂いで働いた。そこに「チチキトク」の知らせが届く。1週間の休みをもらって帰国した清水を待っていたかのように父が逝去。そしてパリへ帰った清水を待っていたのは、主任という地位 だった。「ストーブ前を任され、10年間の労働ビザも取れ、給料は上がり、すっかり自信が付きました。こうなったらフランス中の三ツ星レストランを全部廻ってやろうと考えたのですが」そんな清水をトゥール・ダルジャンが手放すわけもない。ホテル・ニューオータニの東京店開店に合わせて本店から派遣されることになり、5年間のフランス滞在を終えることになる。
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